やっぱり母は浮気をしていたらしい。
中々に荒れ果てた家庭環境だとは思っていたけれど、とうとう我々は家族ですらなくなるんだな。
悲しくはなかった。むしろ、どこか嬉しかったかもしれない。
やっと、家族なんて腐った縁から解放される。
自由になれるんだと思った。
「あなたは当然私の方に来るよね?」
母からそう言われたとき、よくもまあそんなことが言えたもんだと感心した。
しかし、聞くところによると、日本の場合、こういう状況でも基本的に母親の方に親権が行くだとかなんとか。
仕事ばかりしていた父に親権が行くなど、ほとんど有り得ないらしい。
やっぱ自由なんてないのかなぁ。
父の苦しそうな顔が、それを物語っていた。
……なんて思っていたが、結果的に、親権は父にいった。
それも、意外とあっさりと。
母は最後まで抵抗していたらしいが、私は親権争いについて関わっていなかった。
私の処遇について私抜きで話すなんてどういうことだ。と思ったが、別に私が関わっても何もできなかっただろうなと思った。
ただ一回、両親と、お互いの弁護士が居る中で、「私は誰も家族と思ったことはないです。ただ、父は家族の為にお金を稼いでくれた。母はそのお金を知らない男に使っていた。私はそう思っています」とだけ言った。
その後誰も喋らなかったので、何かを間違えたんだろうなとは感じたが、具体的に何を間違えたのかはよく分からなかった。
父のことは、尊敬はしていた。
あんな顔と身体だけみたいな人と結婚してしまうところは、尊敬していなかったけど。
だから、父が私の親ということになってくれたのは素直に嬉しかった。
だから、父にこう伝えた。
「あなたがお父さんで良かった」
父は声を出して泣いていた。
きっと嬉し涙だった。
「一生お前を守り続ける。今までちゃんと話して来れなくて申し訳なかった」そう言ってくれた。
別にそこまで良い言葉を言ったつもりはなかったから、正直結構困惑しながらそれを見つめていた。
「母よりは随分とマシだな」なんて思っていた。
私とお父さんは、二人で暮らすことになった。
意外と母の居ない生活は、すぐに馴染んだ。
というか、むしろ快適だった。
相変わらずお父さんは少し無口だが、以前より積極的に会話するようになった。
とはいえ、会話の切り出しはいつも「学校はどうだ」ばかりで、そんなんだから浮気されるんでしょ、と少し呆れている。
でも、そんな会話も悪くなかった。
たまに「ちょっと困ってるかも」なんて言ってみると、お父さんは途端に慌て出す。
「何に困ってるんだ」
「お父さんの力が必要か」
「いつでも助けるからな」
なんて。
昔からずっと、これぐらい心配してくれていたのだろうか。
少し不思議な気持ちになった。
誰も、私のことなんか興味ないと思っていたから。
ある日、ふと、そういえばちゃんとしたご飯を食べていないなと思った。
ずっとお父さんが買ってきてくれる弁当だけで、誰もキッチンを使っていなかった。
母が居たときは、月一ぐらいの頻度で、やたら美味しい料理が作られていた。
料理だけ教えてもらえば良かったな。なんて思いながら、なんとなくキッチンに立ってみた。
使いかけの調味料。少し刃こぼれした包丁。なんか……普通に汚いシンク。
キッチンはあの時から時間が止まったままだった。
まずはここの掃除からかな。
乱雑に置かれた調味料を整理していると、使いかけのカレールーがあった。
幸い賞味期限は切れていない。
「帰り、玉ねぎと人参とじゃがいもと、あと鶏肉買ってきて。弁当は要らない。作るから」
お父さんにそうメッセージを送った。
「了解」とだけ来た。
せっかく愛娘が料理を作ってやると言っているのに、なんて淡白な返事。
お父さんらしいなと思った。
過去の会話を見返すと、私も淡白な返事ばかりしていた。
親子なんだなと思った。
自然と口角が上がった。
お父さんはちゃんと食材を買ってきてくれた。
一人前しか買ってこないみたいなヘマはやっていなかった。
少し危惧していたので、急に終わって喜ばしい。
「お父さんは黙って待ってて」
絶対心配して口を出してくると思ったので、先に釘を刺しておいた。
「わかった」と言って、そわそわとしながら、机からこちらを覗いていた。
包丁を動かす度に、お父さんの表情も変わる。
そのせいで指を切りそうだった。
思えば、人生で料理なんてしたことがない。
技術的にも指を切りそうで、確かに私もこれを見る側だったらヒヤヒヤしていたと思う。
幸い、私はかなり器用だった。
野菜と肉を切り終えたので、鍋でそれらを煮込んで、あとはルーを入れてさらに煮込めば完成。
片栗粉とか隠し味とか、よくわからないから入れない。
「あとはほぼ待つだけ。ゆっくりしてて良いよ」
そう言っても、お父さんは机から動かなかった。
そんな一つのことしかできないタイプだったっけと思いながらも、私もキッチンから動けなかった。
やっぱり、私達は親子だった。
キッチンから動かないぐらいにしっかり待っていたので、カレーは滞りなく完成した。
味見をしたが、まぁ食べれる味だと思う。
というか、多分カレーで失敗する方が難しい。
「はい。できたよ。まぁ、食べれる味かな」
保険をかけて、父の前にカレーを出す。
自分の分も持ってきて、父の前に座る。
父は神妙な面持ちで、スプーンでカレーを掬って、一口食べた。
「……美味しい」
そう言ってくれた。
そして父は泣いた。
また、声を出して。
泣きながらも、カレーをすごい勢いで食べていた。
私ぐらい器用だなあと思った。
それを見て、自分も一口食べた。
普通の味だった。やっぱ母の作ってたカレーはなんか妙に美味かったんだなと再確認した。
いや、本当にあれは美味しかった。
レシピだけ聞いとけば良かった。
「どう?今日からこれが実家の味だよ」
少し冗談めいてそう訪ねると、お父さんはうんうん頷いて、やっぱり泣きながら食べ進めていた。
いや、感想聞きたいんだけどなあ。
まぁいっか。
お父さんはすぐに食べ終わって、少し経ってから、ぽつりと話し始めた。
「……最初LINEが来たとき、本当に申し訳なく思ったんだ。ずっと弁当ばかりで、健康的なご飯を食べさせてやれなくて」
「でも、お父さんは料理ができないから、娘に不味い飯を食わせる訳にはいかない。それで、どこかで練習しようと思って、でも、時間がなくて」
「いや、これは言い訳なんだ。本当は、いくらでも時間なんかあったはずだ」
「……とにかく、申し訳ないと思ったんだ。だけど、家に帰ったら、いつもの顔で出迎えてくれて、ずっとこうだったみたいにキッチンに立って」
「綺麗な手をしていた。懐かしい手だった」
「確か、料理なんて初めてだったよな?なのに、本当に上手くて、ああ、自分が情けないなって。あの時、守るって誓ったのに、今こうして、料理を作ってもらって、それを見つめることしかできていない」
「出てきたカレー、本当に美味しかった。……本当に、美味しかった」 「食べた瞬間、今まで我慢していた気持ちが止められなくなった。……すまない。情けないところを見せてしまって」
「だけど、これだけは言わせてくれ。美味しかった。ありがとう。君は私の、自慢の娘だ」
そう言い終わったあと、そっと優しく私の手を握った。
話が長い。最後だけで良くない?
まぁでも、嬉しかった。
「また作ってあげるよ。気が向いたら、ね」
お父さんはまたうんうんと頷いて、また泣いてしまった。
私はそれが可笑しくて、笑いながら、止まっていたスプーンをまた動かした。
カレーはもうすっかり冷めてしまっていたが、それでも美味しかった。
カレーって凄いんだなあと思った。
ある朝、気怠さの中目が覚めた。
ああ。そういえばこんなものもあったなあ。生理だった。
最近は忙しくて、長らく来ていないこともすっかり忘れていた。
……そういや、ナプキンとかあるんだっけ。
ずっと母と同じやつを使っていて、新しいのを買うのも母がやっていたから、すっかり忘れていた。
あのお父さんのことだ。どうせこんな所に気が利くはずがない。
はあ。かなり最悪の気分だ。
久しぶりだったからか、かなりとんでもない量が出ている。
この下着もベッドも私が洗うべきだろう。
かなりやってられない。
全部を忘れてもう一回寝たいが、下半身の不快感がそれを許さない。
今日が休日なのがせめてもの救いか……。
うだうだ考えて、結局お父さんに助けを求めることにした。
もうこれ以上考えるのも嫌だったので、「生理来た。なんとか助けて」とだけメッセージを送った。
すぐに部屋のドアが開いた。
手ぶらのお父さんがそこに立っていた。
手ぶらで何をしに来たのだろうか。
「拭くもんちょうだい」
すぐにちょっと高いバスタオルを持ってきた。
ちょっと高いバスタオル???
拭けたらなんでもいい。
いや、かなり良くないけど。
お父さんは気まずそうにこちらから目を逸らしていた。
「あんまり人前でやるもんじゃ……」とかごにょごにょ言いながら。じゃあ見るな。
なんなんだ。
てかこういうときトイレットペーパーとかだろ。
これからこのバスタオルどういう気持ちで使うんだ。
「ナプキン買ってくる。掃除しといて」
これだけ伝えて、ズボンだけ履き替えて、トイレに駆け込んで、トイレットペーパーをがむしゃらに詰めて近所の薬局へダッシュした。
もちろんダッシュはしていない。
なんかもう太陽にもイライラしてきた。
なんなんだ太陽って。
ふと、母の言葉を思い出してしまった。
「女ってのは結局子供を産めるからチヤホヤされるの。だから、生理が来たら喜びなさい」
本当に何を言っているんだ。めちゃくちゃイライラしてきた。
あんなやつに教わるレシピなんかない。
幸い、薬局の店員は優しい人だった。
私の様子を察したのか、さり気なく店内のトイレへ目配せしてくれた。
やっぱり世の中は捨てたもんじゃない。
太陽にも良いところはある。
にしても前触れとか何もなかった。
なんなんだ。
有り得ない。
悪態をつきながら、今度こそダッシュで帰った。
もちろんダッシュはしていない。
家に帰って、トイレにナプキンを置こうとすると、普通にあった。
あるやないか。
なんやねん。
関西人になってしまった。
あの時間全部無駄だった。
すんごい悲しくなったのでもう寝た。
ベッドはそこそこ綺麗になっていた。
今更申し訳なくなったが、気にしないようにした。
寝てる間、記憶が定かではないが、頭を撫でられたような気がした。
お父さんはそれ以来、少し気まずそうにしている。
「悪い男には気をつけるんだぞ」
それが最近のお父さんの口癖だった。
ようやく生活も落ち着いたので、最近はよく友達と遊びに行っている。
その際、お父さんはほぼ必ずと言って良いほど、このセリフを言う。
言われなくても、悪い男とつるんだ末路みたいな人間を見てるから大丈夫だよ。でしかない。
最近のお父さんは、良くいえば、自分が娘の父親であるという自覚を持ったように思える。
正直ちょっと嫌なのだが、まぁ心配になる気持ちもよくわかる。
なので私も、特に文句は言わない。
ただ、少し過保護というか、誰と遊びに行くとか、何時までに帰るとか、色々と言わされる。
まぁ、とはいえ普通のことだとは思う。
むしろ今までが淡白すぎただけなのかもしれない。
ただ、なんというか、少し変な話なのだが、自分のこの女性性が、上手くいかない要因じゃないかみたいな。そんな感覚がある。
別に、私は本当は男だとか、そういうつもりじゃないけれど。
この長い髪も、起伏のある体も、少し嫌に思えてきた。
お父さんはこの髪が好きみたいで、よく撫でてくるのだが、正直私は好きになれなさそうだ。
なんせ、母が長い方が良いなんて建前で、美容院代をケチったのが始まりなんだから。
なんて話を、友達にしてみた。
笑い飛ばしてくれる予定だった。
「変なの。別に君は女の子だし、お父さんは君が大切なだけだよ」って。
そしたら私も、「そうだよね。私は女の子だし、お父さんは私のことが大切なんだよね」って、納得できたと思うのに。
友達は、こう言った。
「お父さん、君のこと、女として見ちゃってない?」
「そんな訳ないじゃん」
そう言おうとして、何故かスっと喉を通らなかった。
いや、そんな訳はないんだ。
なんせ、私達は親子で、家族で、家族はそんなこと。
「お母さんにどこか似てるんじゃない?」
何故だか、何も言えなかった。
「な〜んて。私のお父さんもそんなもんだよ。この前なんか彼氏居るって言ったらめちゃくちゃ問い詰められてさ〜」
友達の話が上手く頭に入ってこなかった。
家に帰ってからも、思考がまとまらずにいた。
一体どうして。
私達は家族のはずじゃ。
いやいや、別にそんな目で見られてるなんて確定した訳じゃない。むしろ、その確率の方が低いはずだ。
じゃあ、なんでこんなに悩んでいるの?
そりゃ、衝撃的な話は覚えちゃうもんだよ
そういうもんなのかな。
でも、疑うってことは、ちょっと心当たりはあるんじゃない?
心当たりって?
ふと、部屋に立てかけてある全身鏡が映った。
自分で言うのもなんだが、かなりかわいい。
長い髪はツヤが立っていて、首から下は、存外に良いプロポーションをしている。
……これの、せいなんじゃないか。
確かに撫で心地の良さそうな髪だ。
自分の手を見つめる。確かに綺麗な手だ。
まさしく、女の子の手。
なんだかそれらが全部、許せなくなった。
おかしいとは分かっている。
だけど、ちょっとぐらい、甘えてみても良いんじゃないか。
この心の欲望のままに、暴れてみても良いんじゃないか。
それを誰かに、受け止めてもらっても。
ふと、机に置いてあったハサミが目に入った。
その横にはカッターも置いてあった。
たしか最近、段ボールを解体したんだっけか。
次の日、久しぶりにお父さんは私を殴った。
職場に休みの連絡を入れている。
百合が ある 嬉しいね
私は死んだ。
隣のベッドで、かわいい女の子が笑っていた。
「おはよう。大変だね、管がいっぱいで」
そして、話しかけられた。
なんの事かと思って、自分の体を見ようとしたら、力が入らなかった。
そういえば、死んでるんだった。
「今、私、どうなってるの?」
「わかんない。体、動かないの?」
色んなところに力を入れてみた。
かろうじて、腕は動いた。
手をだらんとさせながら、自分の腕を見つめる。
確かに管が繋がっていた。
「わあ。すごい傷。怪我したの?」
「これ?自分で切った」
「へえ。なんで?」
「さあ。死にたかったから?」
こういうくだり、何回もやった気がする。
みんな口を揃えて、リストカットなんてダメだって言う。
飽きた。
「そうなんだ。私と反対だね。私は、生きたいなあ」
「へぇ」
「私ね、あと一ヶ月もしないうちに死んじゃうらしいんだ」
「へぇ」
「不思議だね。私は生きたいって思ってて、貴女は死にたいって思ってて、真逆の願いなのに、きっとどっちも同じくらいしんどいんだろうね」
「……そうかもね」
やたらと自分語りをするんだなあと思った。
まあ、死んだ私には関係ない話だけど。
それなのに心臓が動いた気がした。
「えへへ。あと一ヶ月しかないけど、よろしくね」
何も言わず、反対側を向こうとして、寝返りすら打てないことに気づいた。
だから首の向きだけ変えた。
彼女は小さく笑った。
「ねえねえ」
不意に彼女に話しかけられた。
「貴女のこと、何て呼べばいいかな」
「好きな風に呼んだら」
「名前とか、ないの?」
「さあ。覚えてない」
「じゃあ、パルって呼ぶね」
「いいよ。変な名前だね」
「変なの?よく聞くのに」
パルなんて単語、生きてる間に聞いた覚えがない。
まぁいっか。
「私の名前も決めてよ」
「じゃあ、アメルね」
「なんかかっこいいね。どういう意味なの?」
「知らない。よく見るからこれにした」
「そっか。じゃあお揃いだね」
アメルも結構変な名前かも。
まあ、いいか。
どうせ一ヶ月間だけらしいし。
「ねえねえ、パル」
今日も話しかけられた。
「外って、楽しい?」
「ここよりは楽しいんじゃない」
「そうなんだ。いいなあ」
まるで外に出たことがないみたいな口振り。
まあ、興味ないから聞かないけど。
「私ね、今までずっと、外に出たことがないんだ」
「へえ」
そっちから話すんだ。
「外ってさ、みんな学校に行って、勉強して、お仕事に行って、帰ったらゲームするんでしょ?私、全部したことないや」
「別に、みんなじゃないけどね」
「そうなの?貴女は?」
「学校も、勉強も、仕事も、ゲームもしなかった」
「じゃあ何してたの?」
「さあ。覚えてない」
「ふ〜ん。案外ここと変わらないんだね。私も今日まで何してきたか、覚えてないや」
今日も、なにかが指を挟んできた。
「でた、パルだ」
アメルにも話しかけられた。
「パル?」
「私、それのことパルって呼んでるんだ。それから君の名前決めたの」
指を挟んできたこいつが、パルっていうやつらしい。
「なんか、血の中の酸素を見てるんだって」
「へえ」
「不思議だよね。酸素って、肺にしかないんだと思ってた」
あんまり共感はできなかった。
今日もパルは私を挟んできた。
「えへへ、パルがパルを挟んでるの、なんか面白いや」
「変なツボだね」
「つぼ?物入れるやつ?」
「なんでもない」
「変なの。そういえばさ、パルってここ出たら何がしたい?」
何がしたいなんて、考えたこともなかった。
生きてる間も、死んでからも。
「さあ。わかんないや」
「そっか。じゃあさ、私がやりたいことに付き合ってよ」
「いいよ」
どうせ死ぬだろうし。
「私ね、おうちデートっての、してみたいんだ」
「へえ。私、家なんてないけど」
「えへへ、私も。じゃあ、外でたらまず家買わないとね」
そんなお金あるの?
どうせアメルのことだし、まずお金って概念すら知らないかも。
「じゃ、働かないとね」
「働く!それもやりたいなあ」
「変なの。働きたいと思ってる人なんて、いないよ」
「ここに居るじゃん。私、ちょっとでも動いたら倒れちゃうからさ、寝たままできる仕事があったら良いなあ」
それを思ってる人はいっぱい居るな。
私も、それが良いし。
「てことは、寝たままおうちデートするつもり?」
「あれ、そうなっちゃうなあ。でも、パルと一緒なら動けるかも」
「また適当言ってる」
「え〜!本当だよ!」
「はいはい」
まったく、呆れたやつ。
「パルってさ、死ぬとき怖くなかった?」
こんな夜遅くに、突然話しかけられた。
「別に。やっと終わるんだなって思った」
「そっか。私、ずっと怖いんだ。……本当に、ずっと」
「死んだら、その怖さもなくなるよ」
「そうなんだ。じゃあ、……大丈夫かな」
ずっとこんなとこに居ても、深夜になると病むのはみんなと同じなんだなって思った。
私の体が動いたら、頭撫でるぐらいはできたのにな。
相変わらず手はだらんとしていて、撫でるというか、擦り付けるぐらいにしかならなそうだった。
使い物にならない手。
「……それに、死んだらパルとお揃いだもんね。じゃあ、うん。大丈夫だね」
撫でなくても、アメルはすぐに立ち直った。
すごいなあ。
私もそれぐらい、強かったらな。
「ごめんね。こんな話して。おやすみ」
そう言って、アメルは向こうを向いてしまった。
寝返りができるなんて羨ましい。
私はずっと、天井か、君のことしか見れない。
「そういえばさ、トイレ行けないの、不便じゃない?」
考えたことなかった。
そういえばトイレって、どうしてるっけ。
「直接管繋がれて、トイレじゃなくてここでしろって、恥ずかしくない?」
管なんて繋がれてたんだ。
そういえばずっとここでしてたんだ。
言われてみれば、確かになんだか恥ずかしくなってきた。
アダムとイブも、こんな気持ちだったのかもしれない。
「……確かに、恥ずかしいね。なんか、アダムとイブになった気分」
「あ〜!またパルが私の知らない話してる〜!!……あ〜あ、昔はトイレぐらいなら自分一人で行けたのになあ」
「そんな時代、あったんだ」
「実はね。もう最近は、足に力入らなくなっちゃったけど」
「そっか」
じゃあ、アメルもそのうち寝返りできなくなるのかな。
こっち側に来てほしいな。
いや、その前に死ぬのかな。
あれ、あと何日あるんだっけ。
「パルってさ、恋人とかいたの?」
起きたてホヤホヤに、話しかけられた。
「居たことないよ。どうしたの」
「なんとなく気になってさ。そうなんだ。なんか意外かも。パルってモテそうなのに」
「どこが?」
「だって、かわいいじゃん」
「それは、よく言われるかも」
「やっぱり!私、かわいい人好きなんだ。付き合うならかわいい人が良いなあ」
「アメルこそかわいいと思うけど」
「えへへ、そう?パルも、かわいい人と付き合いたい?」
「まあ、そうかも」
「じゃあ、私達、お似合いってやつだね」
そう言いながら、パルは顔を真っ赤にした。
そんな照れるなら、言わなきゃ良いのに。
「ふふっ、パルったら顔真っ赤じゃん」
「アメルがそんな照れるから」
「……ふえっ、なんでバレてるの!?」
「だって、アメルも顔真っ赤だよ。耳まで真っ赤っか」
「うう……恥ずかしい……」
アメルはもぞもぞと体を動かしている。
足、別に動いてるなあって思った。
案外、元気になってるのかも。
まだ、一緒に居れるのかな。
「パル、聞いてた?……私、明日手術するんだって。ほんといきなりだよね。普段は結構前から教えてくれてたのに」
夜、話しかけられた。
「なんかいっぱい言われてたね。意味、わかった?」
「ううん。さっぱり。なんか色んな紙にサインさせられたけど、全部よく分かんなかった」
「そっか。手術、上手くいくと良いね」
「うん」
お互い、喋らなくなった。
ここ最近は、こんな沈黙の時間、なかった気がする。
こんなに、居心地が悪いものだっけ。
「良くなったらさ、おうちデート、しようね」
耐え切れず、つい言葉を出してしまった。
「うん。絶対行こうね」
また、沈黙。
「……覚えてる?パルと私、明日で出会って一ヶ月なんだって」
次は、アメルが声を出した。
「そんなに経ったんだ。早いね」
「覚えてるよね。あのとき、私の余命が一ヶ月しかないって言ったこと」
「覚えてるよ。勿論」
「やっぱり、死ぬのは怖いよ。……今まではさ、なんか、漠然と怖かったの。でも、だからさ、考えても仕方ないなって、諦められたの。でも、でも、今は違う。パルと一緒に居られなくなるのが怖い。どうしてもそれを考えちゃう。考えても仕方ないなんて、思えない」
暗くて、アメルの表情はよく見えない。
だけど、泣いていることはわかった。
私は、何も言えなかった。
けど、アメルが居なくなるのは怖い。
「私、パルのことが好き。大好き。ずっと一緒に居たい。離れたくなんかない。パルは、パルは私のこと、好き?」
一瞬、部屋に光が差した。
雲に隠れていた満月が、その姿を現していた。
「……月、綺麗だね」
伝わらないとは思った。
伝わって欲しくないとも思った。
「……えへへ。死んでもいいわ、なんてね」
なのに、伝わってしまった。
なんで、こんなことだけ知ってるんだ。
他のことは何も知らないくせに、どうして。
この怒りを何かにぶつけることもできなかった。
相変わらず体は動かなくて、手はだらんとしていて。
「……私も、アメルのこと、大好き。だから、絶対死なないで。私と一緒に生きて。ずっと、ずっと一緒に」
こう言うしかなかった。
それ以外に、私には、できることが何も無かった。
「……ありがとう。パル」
彼女はもう、話しかけてこなかった。
私も、何かを言う気になれなかった。
もう、伝え切ってしまった。
神様。どうかお願いします。
少しぐらいは、ハッピーエンドが見たいです。
私の人生は、ずっと暗い話だったから。
せめて、最後ぐらいは。
朝になった。
彼女はもう隣には居なかった。
昼になった。
まだ居なかった。
夜になった。
まだ居なかった。
隣のベッドは、最初から誰も居なかったみたいに、綺麗になっていた。
しわだらけの布団も、ケーブルだらけの床も、ピッピッと喧しい機械も、全部なくなっていた。
エンディングなんてなかった。
私の人生は、まだ続くらしい。
私は死んでなんかいなかった。
ずっと生きていた。
アメルと出会う前も、出会ったときも、出会ってからも、ずっと。
失う前から、大切なものだと気づいていたのに、失ってしまった。
また、何がしたいのかなんて、分からなくなった。
また日常に戻っていく。
アメルの顔よりも、何百回も見た看護師に、冷たい視線を向けられる。
薬物中毒の恋愛中毒。そう罵られながら、日常を過ごしていく。
またここを出ても、またいっぱい手首を切って、またいっぱい薬を飲んで。
また死んで、またここに来て、またアメルと出会う。
こんなに幸せなことは、他にない。
現パロ(元ネタ抜き)をやりたくなったから、やった
朝って憂鬱だ。
本質的には、朝が憂鬱なんじゃなくて、学校に行く為の朝が憂鬱だ。
行きたくもないのに制服を着て、食べたくもないのに朝ご飯を食べて、う〜ん、改めて思い返すと二個ぐらいしかタスクがないな。
まあ、それはさておき、最近はこの朝の時間もそんなに悪くない気がしている。
家の鍵を取って、ドアを開けて、うおっ眩しっ、なんで朝ってこんなに眩しいんだろう。
やっぱ太陽ってろくでもない……
目を細めると、逆光の中に、今日も彼女が居た。
「おっはよ〜う!調子どう?元気??」
相変わらずかわいい。もうずっと毎朝彼女と会っているはずなのに、いつまで経っても慣れない。
流石に同性にここまで心を動かされてるのはおかしいんじゃないかって、前時代的な考えも巡る。
古来より女性はかわいいものに心を動かされる生物だった気もする。私のこれは恋愛とかそういうあれではない。と思う。実際、別に彼女と付き合いたいとか、そんな気持ちは一切ないし。
所謂Likeだ。何もやましいことなんか考えていないし、するつもりもない。だから今日も冷静に……
頬をむぎゅっと挟まれ、思わず意識を現実に戻すと、むっとした表情でこちらを見つめる彼女がいた。
「おはよう。今日もかわいいね」
いつも通りの返事をすると、彼女はパッと笑って、私の頬を解放する。
「よし!今日のデイリー報酬受け取り完了!じゃ、行こっか!」
いつも通り、彼女は私の手を握る。
そろそろ気温も高くなってきて、手汗とか気になっちゃうだなんて、乙女チックな思考も巡る。
「いや〜今日も暑いね。君も熱中症とか気をつけてね〜」
そっちこそだし、暑いと思ってるなら手離した方が涼しいんじゃないだし、でもまあ手繋げるの嬉しいからこのままでいいんだけど。
「そうだね。来週は涼しくなるらしいけど」
「来週涼しくなるんだ!じゃあ早く来週にならないかな〜」
よくもまあそんな乱雑に時間を扱える。
私は常に時が止まってほしいと思っているのに、彼女は早く進んでほしいと宣う。
もし私が時を止める能力者だったとしても、彼女がいる限りこの能力を使えることはないんだろう。
私がDIOじゃないことに、感謝している。
咲夜でも可。
「でも来週、テストじゃないっけ」
「あっ!そうじゃん!!うわ〜テスト勉強とかしてないんだけど!!」
テスト勉強をしようと思えるのがもう素晴らしいと思う。
これまでの人生で、テストに価値を感じたことがなかったから、やる気力が何も湧かない。
こういうダメ人間をふるい落とせるから、テストをやる意味があるんだろうとは思っている。
「でも、そんなこと言いながらいつも点高いじゃん。別になんとかなるでしょ」
「いや、今回は本当にやばいかも……世界史、急に覚えないといけない量が増えてて間に合う気がしない!……ってか、そういうそっちこそいっつも点高くない??この前とか学年一位だったし!!いつ勉強とかしてるのさ!」
ぎくり。
テスト勉強しないとか言いながら高得点取ってるタイプなのがバレてしまった。
ぶっちゃけ、勉強とかしなくても余裕で分かるじゃんが答えなんだけど、そんなこと言って、この会話が平和に着地する訳がないから、なんかしらで誤魔化さないといけない。
こういうシーンでずっと失敗し続けている。
よって今回も失敗しそう。
もうおしまいだ。
「まぁ、授業ちゃんと聞いてるって感じかな」
「なにそれ!!私も授業ちゃんと聞いてるのに〜!これが地頭の差ってやつか……」
ギリギリ失敗か。
地頭というワードを相手から出させてしまったら、こちらの負けだ。
そういうルールのゲームをしている。
地頭という言葉で、自分と相手の賢さを固定化されている。
こうなると、もう私が何を言っても上からの慰めにしかならない。
いや、普通はそうならないのかもしれないが、私のコミュニケーション能力だとそうなるしかない。
これだけ能力に欠けてるなら、やはり地頭なんて言葉はデマカセでしかないのだ。
私より伊沢拓司とかの方が賢いし。
それはなんか関係ないかこの話とは。
なんて話しているうちに、もう学校が見えてきてしまった。
なんでこんなに学校から近い場所に住んでしまったんだ。
気づけば周りに同級生が沢山居た。
かなり肩身が狭い。
対照的に彼女は、もうそれはそれは色んな人に挨拶している。
私はまだクラスメイトの3割ぐらいしか顔を覚えていないのに、彼女は同学年全員の顔を覚えていそうだ。
やっぱ彼女の方が地頭が良い。
いや、地頭とかないんだけど。
この状況でも、彼女は私の隣を歩いてくれる。
優越感と、やっぱり肩身の狭さが私に襲いかかる。
毎日手を繋いで一緒に登校しているから、周りもあの二人はそのままにしとこうみたいな、そんな配慮があるのか、挨拶以上の会話をする人は居ない。
ありがたいが、配慮されているっていう事実も胸を突き刺す。
変なところで私は感受性が高い。
不便だ。
この間、私と彼女が話すことはいつもないが、私はいつも彼女の笑顔をこの特等席で眺めている。
これが見れるなら、まあちょっとぐらい胸が刺されても良いと思う。
ちょっとぐらいは。
胸はあんまり刺されたくはない。
心臓とか肺とか、重要だから。
腎臓とかなら良いと思っている。
なんて適当なことを考えていると、本当にいつの間にか自分の教室の前まで来ていた。
本当にいつの間に?
彼女とのこの至福の時間もここで終わってしまう。
彼女は教室に着いたら、いつも仲良い友達に話しかけに行く。
彼女は一緒に来てよと言うが、普通に知らない人と話すつもりにはならないから、自分の席に着く。
有象無象と同じ席から、彼女の笑顔を見つめる。
なんやかんや私にはここが落ち着くな、とも思ってしまう。
彼女と私は到底釣り合う人間ではないから。
彼女は明るくて、よく笑って、話しているともしかして自分のこと好きなんじゃ?と勘違いしかける瞬間が500000回ぐらいあるけど、今こうやって、私じゃなくて他の人を優先している時点で、それがちゃんと勘違いであることは明白だろう。
泣いてなんかはいない。
実際泣いてはないし。
まあ、私も自分から話しかけに行くことはないし、結局お互い、家から学校への方向が一緒の、ちょっと仲良い友達みたいな意識なんだろう。
お互いと言うには、私からの矢印はかなり大きいかもしれないが。
具体的には、彼女が誰とも話してない時、別に机の中に何かが入ってるとかではないのに、机の中を覗いたりして、さりげなく今暇ですよアピールしちゃうぐらいには大きい。
でも自分から話しかけるとかはない。
これは普通に話しかけるのって勇気が要るから。
やっぱりダメ人間だ。
てか関係ないけど机の中っておかしな言葉だ。私の感覚では机ってあの板を指しているから、板の下のポケットは机ではない。
机の下の方が適切だ。
でも机の下もなんか変だ。
おかしな概念だ。これは。
彼女は相変わらず友達と話している。
暇ですよアピールをしなくて良いタイミングでも、普通に暇だからおかしな概念は覗いてしまう。
あれ、筆箱入ってる。
忘れて帰ってたらしい。
じゃあ昨日の私課題どうしてたの?
やってないんだったな。
あーあ。
なんで昨日の私はこれ気づかなかったんだろう。
彼女が私が暇アピールする間もなく話しかけに来てくれたから嬉しくて見てなかったんだ。
こうなるならちょっと焦らしてほしいみたいな感じもある。
それはない。
普通に話しかけてほしい。
かなり面倒な女だ。
私と付き合う人間はかなり大変なことだろう。
哀れだ。
私が誰かと付き合いたいとか思わないのは、優しさなのかもしれない。
そういうことにしておこう。
その解釈の方が、良いと思う。
たまにあるからね。現実より作られた解釈の方が綺麗なこと。
今それ。
彼女はまだ友達と話している。
時計を見ると、もうそろそろHRが始まってしまう時間だ。
やめてほしい。
別にあの時間何も起きていないから。
こうやって彼女と話せない朝は、ちょっとしょんぼりしながら一日を過ごさなければならない。
ちょっとしょんぼり。
なんて思っていると、先生が教室に入ってきた。
入らないでほしい。
先生もお疲れでしょう。今日は休んでみては。
クラスメイトもそれを見て、各々自分の席に戻っていく。
彼女も戻っていく。
なぜ彼女と隣の席じゃないのだろうか。
いつでも彼女のことが見える場所に居るだけまだ良いと思うべきか。
暇な時間(みんなは授業と呼んでいる)に彼女を見つめられるだけでも、十二分に恵まれている。
なんて考えていると、彼女がこちらに小さく手を振ってくれた。
好きっ。
かなり嬉しい。
ちょっとしょんぼりの反対になった。
いや、普通に私じゃない可能性もある。
思い上がらない方が良い。
でも好き。
普通にやましいことしたい感もある。
普通に。
なんか担任が喋っているが、普通に何も聞いていない。いつも通り。
彼女が手を振ってくれようがどうだろうが、いつも聞いていない。
朝に授業ちゃんと聞いてるとか言ってたけど、思い返すと別に聞いていないな。
ノートも取ってないし。
本当にダメ人間だ。
やっぱ彼女と私は釣り合わない。
しょんぼり。
しょんぼりと言うには分かりきっていることではある。
でもしょんぼり。
現実とは、分かっていても辛いものだ。
しょんぼり。
悲しいので一旦寝ようと思う。
昨日風呂入るの嫌すぎて駄々こねてたら寝るの遅くなったから。
睡眠時間は授業とかより優先されるべきだから、寝る。
もう先生も一々起きろとか言ってこなくなった。
私が勝ったということか。
諦めたということだと思う。
おやすみ。
ゆさゆさと体が揺れる感覚で目が覚める。
この周波数は彼女だ。
「朝授業ちゃんと聞いてるとか言ってたのにめちゃくちゃ寝てるじゃん!!起きてくださ〜い!!もうお昼ですよ〜!!」
寝起きにはちょっときつい声量だ。
でもかわいい声だ。
プラマイでプラス。
「ん……おはよう……寝てたけどちゃんと聞いてたよ……ふわ……」
「そんなことできるの!?!?私もそれやりたい!!!」
「いや嘘だけど。ごめん」
「えっ」
寝起きぐらいは嘘つくのも許してほしい。
さっきまでずっと嘘見てたんだから、現実とか今酔う。
ぼやけてた目も段々ピントがあってきた。
ぼやけててもかわいかった顔が、ピントがあってめちゃくちゃかわいくなった。
すごい。
鏡の逆だ。
あれは綺麗にすると醜く映るようになる。
曇ってるぐらいがちょうど良い。
「やっぱかわいいね」
ミスった。
嘘から急に現実に戻したら、普通に正直なこと言ってしまった。
でも事実言ってんだから悪くはないと思う。
「えへへ、もう〜急になにさ〜……って、それも嘘とかじゃないよね??」
「本当だよ。私って嘘とかつかないから」
「ほんと!?よかった〜!……君もかわいいよ。えへへ」
殺す。
ああ違う。
ミスって殺意が。
かわいすぎて。
かわいいって言われたのが嬉しいんじゃなくて、照れてはにかんでるその姿がかわいすぎる。
なんかめっちゃ重なった言葉使った気がする。
は〜かわいい。
やっぱやましいことはしたい。
イキってごめん。
したいです。
は〜ありがとう。
おかげさまで生きております。
おか生き。
げさりま。
「あぅ……その……こっち見てないで、な、なんか喋ってほしいな……?」
キスって合法なんだっけ。
これで捕まった人はあんまり見たことがない気がするから合法だと思う。
キスはまぁダメか。
ハグなら良いか。
「ごめん。かわいくてつい」
そう言って抱きしめたら、彼女の身体があったかくて、もう一回寝れそうになってきた。
眠いし寝た方が良いか。
おやすみ。
百合だっ!!!百合なのか!?!?!?………………百合だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっあわあああああわわあああああああああ!!!!!!!
「私、君のこと、君が思っている以上に好きなんだ」
彼女はそう言って、私を屋上から突き落とした。
そこは3階だった。明日が来てほしいなぁと思った。
死後の世界は存外現世と変わらなかった。
新幹線とかも走ってる。
知らない名前の駅から、知らない電車が、知らない地名に向かって走っていく。
そのうちの一つに乗り込んだ。三番ホームから発車した。
途中、海が見えた。
砂浜で、男女複数人のグループがビーチバレーをしていた。
それを見て、何かを思い出した気がする。
でも、すぐに忘れた。
一緒に、他のことも忘れた気がするけど、忘れたってことは、思い出せないってことだから、気にしないことにした。
ちなみに、電車内にトイレはなかった。
ほどなくして電車はどこかで止まった。
降りるとそこは街の中だった。
カラオケと飲み屋が並ぶ、なんて事ない街だった。
そしてそこに彼女がいた。
目が合った。
「おはよう。今日は8月1日だよ」
彼女はそう言って私を抱きしめた。
駅前のロータリーにタクシーが群がっている。
行き交う人々はみな無口だ。
歩行者信号が点滅した。
人々は、それでも、速さを変えない。
きっと毎日こうなんだろうなぁと思った。
「今日は何がしたい?」
「買い物かな」
私は言った。
「今家にある服、なんかボロボロだったから」
「そっか。じゃ、プレモ行こっか」
私達は歩き出した。
私は彼女の方を見ないで、街を眺めていた。
彼女は私を見ていた。
都会の歩道は自転車が通るから見た目より広くは使えない。
不便だなぁと思った。
「焼き鳥って好き?」
不意に聞かれた。
「ないかな。食べ物に好きとか」
「そっか。食べれる?」
「食べれるよ」
彼女は満足気に頷いた。
満足なら、良いか。
なんとなく、視界に映った雑貨屋に足を運んだ。
彼女は慌てて着いてきた。
「これ、かわいいね」
私はアヒルのランプを指差した。
「欲しい?」
「いや、要らないけど」
「そっか。かわいいね、これ」
「でしょ」
私はちょっとだけ笑ってみせた。
彼女は私よりもっと上手く笑ってみせた。
何も買わずに店を出た。
あの笑顔より良いものはこの店に売っていなかった。
嘘をついた。なんかでっかいうんちの置物が売っていた。あれの方が結構良かった。3980円と書いてあったので、買いはしなかった。無料なのを加味すると、やっぱりあの笑顔の方が良いものだったかもしれない。
本屋にも寄った。
特に面白そうな本はなかった。
「いつか君の本がここに並ぶかも」
そんなことは起こらないと思った。でも、言葉にはしなかった。
それは、負けだから。
「これ、買いたいかも」
彼女はアニメ調の表紙の恋愛小説を手に持っていた。
「良いんじゃない。こういうの好きそうだし」
適当に返事した。興味が無かったから。
「ありがとう。会計してくるね」
彼女は急ぎ足でレジに向かった。
そんなに焦らないでも、と思った。
すぐに彼女は戻ってきた。
「おまたせ。そっちも大丈夫?」
「うん」
頷いて、なんとなく手を繋いでみた。
あの恋愛小説の表紙に感化されたのかな。
自分では分からない。
彼女はちょっと驚いたような表紙をみせて、すぐに笑った。
さっきと違って、なんだかへにゃっとした笑い方だった。
可愛い子はへにゃっとしてても可愛いんだな。ずるいなぁと思った。
ナナフシとかがこういう笑い方してたら、絶対折るから。
ナナフシは可愛いか。
アメンボとかかな。
なんだかずっとにやにやしていて気持ち悪かったから、手はすぐ離した。
それでもずっとにやにやしていた。
しょうがないから、何も言わずに先に歩き出した。
にやにやと着いてきた。
あとでLINEの名前を「にやにや」に変更しておこう。
「私と居るの、そんなに楽しい?」
なんとなく聞いてみた。
「もちろん。だって、う〜ん、まぁ理由はなんでもいっか。楽しいから楽しいよ」
「へ〜」
会話はここで終わった。
やっぱり自分から話しかけるものではないかもしれない。
「言い淀んでたのって、毎日私の記憶が無くなるのとかが関係してたりする?」
とか思いつつも話しかけてしまう。
「そんな感じかな。なんかさ、全く同じ人間のはずなのに、毎日違うことして違う話をして、でも大事なところはそのままで、みたいな?」
「へぇ。昨日の私はどうだったの」
「ボウリングがしたいって言って、全部ガターに落ちて、私が慰めてもずっと拗ねてたよ」
「なにそれ」
面白くて、ちょっと笑った。
彼女も一緒に笑ってくれた。
こうして笑えるなら、明日もきっと笑えるなら、じゃあいいか。
彼女はそう思わせてくれるから、好きだ。
彼女も私がこう思っているのを知っているのだろう。
何百回も私と話してるはずだ。一回ぐらい、私が告白した回もあったはずだ。
だからもう、今更言わなくてもいいかな。
そう考えていると、
「ね、好きだよ」
突然言われた。
「ん。ありがとう」
私もだよ、とは言わなくていいと思った。なんとなく、野暮だと思ったから。
「そういえば、どんな服がほしいの?」
気づけばもう服屋に着いていた。厳密に言えば服屋があるフロアか。どうせ二店舗ぐらいしか見ないからなんでもいいけど。
「わかんない。なんか似合いそうな服買ってよ」
「え〜、なんでも似合うから難しいなぁ。寒色系とか好き?」
「色に好きとかないかも」
「そっか。嫌いじゃない?」
「別に。着れるよ」
「じゃあ確かあの辺が良かったはずなんだよね〜」
彼女はずんずんとフロアを突き進む。
一度に視界に捉えていい服の量をオーバーしているから、あんなに早くは歩けない。やっぱり彼女はすごい。
「あった。これとかどう?」
服はよく分からないが、多分いいんだろうなぁという服だ。
「良いと思う」
「じゃあこれと〜〜あっ、桃原ゆずって人好き?」
「誰?好きじゃない」
「そっか。最近その人が着てた服があるんだけど、似合いそうかな〜って思って」
「似合いそうなら良いと思う。」
「じゃ、それも買おっか。そういやスカートとか興味ある?」
「服に興味あるとかないかも。私がそれ履いてたら嬉しいの?」
「すっごく嬉しい」
「じゃあ良いと思う」
彼女はご機嫌な様子で、次々と服を買っていく。
私は後ろから着いていくだけだ。
お洒落とかよく分からないから、全部任せるしかない。
どうせ彼女としか会わないんだし、彼女に任せるのが最も効率的だと思う。
「おっ、それ気になったの?」
なんの事?と思って手元を見ると、何故か服が着いてきていた。
なんか白で、なんかなんて言うんだっけ。フリル的なやつがついている。
「なんか着いてきた。迷子なんだと思う」
「じゃあ保護してあげよっか。かわいいし」
迷子のかわいい子を保護という名目で攫うなんて、悪いことだと思った。
でもまぁ、良いか。知らないし。
彼女が会計をしていた。金額は多分見間違いだったと思う。
ただの布を数枚買っただけで6桁になる訳がないから。
そんなお金多分持ってないし。いや、知らないけど。
「他の服も見てく?」
「いや、もういいかな、ありがとう」
「ん、じゃあこのあとどうしよっか?」
確かに。どうしよう。
「行くあてないならちょっと行きたいところあるんだけど、いい?」
「いいよ。行くあてないから」
なんとかなった。危機的状況だった。
彼女に連れられて建物の屋上庭園に来た。いつの間にかすっかり夜になっていた。
星は見えないけど、なんだか良い雰囲気だなぁと思った。
「綺麗なところだね。こんなところだったんだ」
「あるのは知ってたの?」
「うん。どこで知ったのかわかんないけど」
周りには人がいっぱい居ると思ったけれど、何故か一人たりとも居やしなかった。
二人きりって、なんだか特別な感じだ。
「ねねっ、変な質問だけどさ、私のことって好き?」
「好きだよ」
聞かれたら嘘をつく理由はない。
「……そうなんだ。ずっと、好き?」
「それはわかんない。未来のことは、わかんないから」
「それもそっか。あっ、見てあそこ、星がある」
「どこ?」
彼女が指差す方を見ても、よく見えない。
柵から身を乗り出して、よく目をこらすと、確かに何か光っている気がした。夜空に光ってるものなんて星と飛行機しかないから、あれは多分星なんだろう。
冷たい風が顔にあたる。
髪の毛がぱらぱら視界を邪魔してくる。
「こんな一日がさ、ずっと続けばなって、思わない?」
突然聞かれた。
「どうだろう。たまにはなんか違うこともしたいかも」
「ふふっ、そっか。私はずっと続いたらなって思うんだ。ずっと、君が私のこと好きでいてくれたらな〜って」
「そうなんだ。難しい夢だね」
「うん。難しいの。でも、ごめんね。私、君のこと、君が思っている以上に好きなんだ」
彼女はそう言って、私を屋上から突き落とした。
多分、毎日こうしてるんだろうな。じゃあ、なんの為に?それを考える時間はかろうじてあった。
多分だけど、閃いた。別に、そんな事しなくても、なんやかんや私は貴女のこと、ずっと好きだと思うんだけどなぁ。
そこは3階だった。明日が来てほしいなぁと思った。
別に人生はどうにでもなる(し、ならなければ死ねばいい)
結構どうにでもなってきたので、精算
えっ6000円ぐらいすんの
まぁまぁまぁ
いいか
結論 人生はどうにでもなる
何故なら、ならなければ死ねば良く、死んだらこの世界から消えるので、人生がどうにもならなかった人は存在しないから。
なんか適当なオナ目で自殺止めようとしてくるやつも居るが、別に死んだらいい。
自殺は迷惑なんて言うやつも居るが、別に死んだらいい。
どうせ死んだお前をいくら罵るやつが居ようと、死んだお前はそれを観測しないのだから、無いのと同じだ。
大切な人とか居ても死んだらいい。
死んだらそいつのこと大切とかじゃなくなるから。
別にその大切な人もいつか吹っ切れるし、吹っ切れなかったら死ぬだけ。
死っていう最高の薬があるのに、それを規制してくるやつらは全員製薬会社が送り込んできた刺客だから、無視しといた方がいい。
でも私は生きてたらなんかおもろくなってきたから生きることにする。
今の年齢ぐらいで死ぬ予定だったけど、普通におもろなってきたから生きる。
死ってそんな重いもんじゃないから、辞めてもおk
独ソ戦とか有り得んぐらい人死んでるし、結局それでめちゃくちゃやばいこと起きた訳でもないし、(起きた訳でもないと言うには起きてるが、まぁ)そんな重々しく捉えなくていい。
どうせお前の知ってる人もどっかで死ぬし。
安倍晋三とかも死んでるし。
結局人生って詰んだらいつでも死が両腕を開いてハグ待ち体勢してんだからいつでも飛び込んでいい。
人生どうにもなってないやつはそういう経験ないから足を踏み出しにくいかもしれんけど、めっちゃ優しいから大丈夫。
私絵上手なってこの死擬人化したいねんな。
かわいいから。
いやほんまかわいいねんな。
自分の性格ってここに影響されてるなってぐらいには好き。
別に人生自体が一切好転してなくても、絶対的な味方が居るってだけで、結構おもしろい。
死を絶対的な味方にできてないやつ、全員弱い。
スプラトゥーンとかめっちゃ下手。
それは上手いか。死なんやつ強いもん。
でもちょこぺろも死んでるぞ。
やから死んだ方がいい。
別にこれって死を手懐けるとかじゃないねんな。
死って元々懐いてんねん。
懐いてるってか、逆で、我々が死に懐いてんねんな。
お姉ちゃんやねん。死って。
お母さんのが好きやったらお母さんでもええわ。
うちおかんもおねぇもおらんねん。
それは嘘なんやけど。
やからおかんもおねぇもおるやつはあんまイメージしにくいんかな。
近所のお姉ちゃんや。
髪の毛は長い。
なんか白いお上品な服着てるわ。
八尺様になってへんか?
おねショタとかやらんけど、二次創作でショタ優位のが多そうな感じのお姉ちゃんや。
こんなお姉ちゃんがハグ待ちしてんねんで。
何を躊躇う必要があんねん。
周りに止められてもハグするしかあらへん。
でも私はお姉ちゃんより人生のがおもろかったから生きてる。
ごめんお姉ちゃん。
でもお姉ちゃんは、それでもいつまでも待ってくれてるんや。
なんていいやつなんや。
こんなお姉ちゃんおったらそら人生おもろいんよ。
人を信頼できないとか言って勝手に病んでるやつほんまにシャバい。
お姉ちゃんに気づけてないの、ほんまに見る目ない。
信頼の塊みたいなんがお姉ちゃんやのに。
有り得へんわ。
ださ。
ほんまお姉ちゃん好きや……
実際、何故今生きていておもろいのか……
一人暮らし、やっぱ良い気する。
他人がおらんってシンプルに快適やね。
なんか何やっててもいいし。
別に実家でも何でもやってたけど。
あとやっぱいっぱい寝るんいいわ。
いっぱい寝るようなってから良くなってる。
いっぱい寝られへんなら学校行かんでええと思う。寝た方がいい。
それはちゃうか。
あと友達めっちゃおもろいしな。
それが70やわ。
30はなんやろ。なんか人間って本来生きてて楽しい生き物なんちゃうか?
そんな気するわ。
別に楽しいことなくても楽しいのが人間なんちゃうん。
社会が良くないわ。生きてて楽しくないなら。
あと脳が勝手に意味わからん進化して過去の記憶全部無くなったし未来の想像全部出来なくなったのもええわ。
考え事減った分脳のリソース増えてプラスやね。
なんか嫌な事思い出して苦しむみたいなんも全部無くなってしもた。あれはあれで財産やった気するけど、別にあっても不便やった。物捨てたあと一瞬だけ後悔する時間あるけど別にすぐ思い直すあれと同じ。
ほんま普通に戻ろうとするみたいなん良くないで。
ダサいから。普通って。
ダサくなるな。
おもろくあれ。
今の瞬間しか生きてないやつって、ちょうどいい距離感から見たらめちゃくちゃおもろいやろ。
普通の人間なんかどの距離から見てもおもんないねん。
逆にめちゃくちゃ病んでるやつも程よく仲良くなるぐらいのときめちゃくちゃおもろいから、なんか治るぐらいならおもろいままの方がええかもしれん。
それはお前があんま良くないわな。ごめんやで。
なんか結局いっぱい寝て絶対的な逃げ場用意しといて適当に時間流してたらいつかどうにかなるわ。
ならんかったら死んだらええんやから何起きてもどうにかなんねんな。
死に方ミスったらちょっと嫌な感じなるかもしれんけど、別にもっかい死んだらええし。
自殺を良くないこととしたんって、自殺があまりにも良すぎてみんなやってもたから禁止してんねん。
あれ姦淫とかと同じ扱いやねん。
好き勝手オナニーしたらええわ。
猿とかもしてるし。
これからもいっぱい寝るしいざとなったら死ぬから、まぁもう人生デカい落ちは来ないでしょう。
来たらどうにかするわ。
課題無限個残ってるけど私にはお姉ちゃんおるし関係ないわ。
お姉ちゃんがおればなんでもできる。
みんなにも、みんなのお姉ちゃんがおる。
おねショタをしましょう。
1
天涯孤独の無様な人間が居る。
モンシロチョウの触角を引きちぎる者が居る。
視界を奪う悪魔が居る。
祈りの込められた弾丸が効かない。
暗い森にヴァンパイアが居た。
枯れた水の中に未だウズムシが居る。
早朝にカラスが鳴いた。
十二時に毎日鐘が鳴る。
声がする。
墓守の声がする。
敬虔な信徒の声がする。
サソリが喚く。
彼女らが慟哭する。
十錠の薬が散らばった。
視界を奪う悪魔が居る。
我々の意識を欺く強大な悪魔が居る。
解離とは反射である。
伝導の行き届かないことはそれが我々意識の管轄外に在ることである。
観念的な空想が現実足り得るのは我々意識の無意識的配慮であって、かつ、それが集合的な反射であり、故に解離とは、その片方が、或いは両方が欠けているから現実足り得ないのである。
神が居る。
歪んだ世界を正す神が居る。
神とされる外部的圧力が我々意識の管轄を我々の手中に取り戻すことはあるか。
否。神の存在は我々意識を手放すことを意味する。
我々の魂を神に献上することこそが我々の信仰体系である。元来そうである。
我々は歪んだ森の中に居る。
深刻な病理は歪んだ森の足元を悪くする。
我々は前に進もうとする度に転ける。その度に方向を見失う。我々は何度も同じ場所を繰り返す。木に傷をつける。それを何度も見る。森には誰も居ない。それは見えていないのである。
意識を手放すことを善としない者が居る。
それは異教徒と称される。
意識的に意識を持つことで、その意識が自己の意識らしさを保証し、循環して意識を保つ。
神に切り裂かれた循環は脳を持ち再び循環を作り出す。
人間とは本来そうなのである。
しかし再起不能な傷は、塞がらずとめどなく血液を流す傷は神性の存在なしに語り得るだろうか。
今ここに意識が存在している。
それは実験室に浮かんだ空虚さの脳である。
熱に浮かされた心臓が大きく鼓動している。
それが私のリアルを証明する。
から、それ以外の私はリアルじゃないのだろうか。
証明を必要とせずただ動く。
非自明な運動を未解決として先に送る。
蝋燭が灯る。
火がゆらゆらと揺れる。
視界を奪う悪魔が居る。
熱に浮かされた心臓が大きく鼓動している。
それが私のリアルを証明する。
エイケこそが私なのだ。
視界を奪う悪魔が居る。
盲目的な死への追従を誘う強大な悪魔だ。
それこそが私なのだ。
二柱の神が私を呼ぶ。
それはあの世で、しかしそれが私の世である。
死を照らす一等星が夜空に浮かんでいる。
航海士はその光を頼りに船を進める。
一等星は導きの恒星である。
私はそれに導かれるままに生きる。
暗い海には振り返っても何も居ない。
そこには悪魔も居ない。人間も居ない。私も居ない。
これが私の人生なのだ。
から、私は自由なのだ。
私は病的に貴女を愛しています。だから早く治してください。エイケーラへ。
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運負けの天使
実力勝ちの泉こなた
週明けに酒飲んだら良い気持ちになるけど代わりにインフルエンザになって嫌な気持ちになるからインコの裏側をぺろぺろぺろぺろ
ここで二句
春雨の
おうどん食べる
おいおいし
懐かしの
アバダケタブラ
インドカレー
枕言葉という、えっちな言葉があって、それを、いっぱい言う
最近はもうめっきり女軍人がすこやな
ほんま
かっこええやつがいっちゃんかっこええねんな
いちじくっ
涙す
溢れ出る この想い
とまらな〜い
とまらな〜い
一時停止の標識
一旦とま〜る
とまらな〜い
とまらな〜い
はい
はい
はいはいはい
夏みかんの味 忘れたから 今日 食べた、よ
おっ篠澤広だっ
いつも見てますっ
そう、ありがとう、ね
ちゅっ
せんやろ!
篠澤広は、ファンに、ちゅっ、せんやろ!
せえへんやろ!
しやんやろ!
ゲームアンドウオッチ 9
カキーーーーーン
GAME!
らきすた見たことないやつ全員オタク
どうも、河野玄斗です
今日はね、やっていきますよ、全ての惑星を食べるゲーム
シムシティ
まず大前提うちVTuberなんやけど
最近はもう、たべたべたべたべたべ
イカさんのおうち、壊してみた!
やめてーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
いや、ごめんやん
弱連打
ぴぽぴぽぴぽぴぽぴぽ
ほうれん草のおひたし、フェスティバル、さんまの、川流
名和縄わかわかわかわかわかわかわかわかわかわかわかわかわかわかわか
ら、あまはあま
h wraps expo ethos Roxy Roxy which which wrxr her Coker conquest r oh we pjare bro Roxy Roxy oh or
rxthe hohrxbohr boxer cho wrxohwrxohbwrohxboj colors chat chat zig wines works ihezbiezuh zigzag wigs wines ohe z ohe zone zig rich rich rich iris roux hrxbhexihr zine xhvexigvezohvrohzvrojbhbohbohbohwrbohrxohwr. Oh wroxhbwirhxbwihrx here zig watched r he f oh wr oh who h who h dog. Wrong. Owe. And bother Bohr out. Oh r oh r oh r oh rox h ohrwxohwr. Here. Oh our. Her. Oh which we oh wrong. Wrohx ohr. Our. Ohr. Ohr ohr. Ohr oh y on con to. Yjo city court court cut. Cojt cojt coj tech touch othc photo photo ohr cojt cojt cookout
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はあっ、はあっ、はあっ、夢か…………
いいや現実だ!
わあああああああああああああああああ
はっはっはっはっはっはっはっ
逃げろ!!!!!!!!!!!!!!!
あああああああああああんんんんわわわわわわわわわわ
Cししゃも、!?ボクって〜、、、、、、、、、
抜けてるなら組めるわあああああああああああああああああ
販売開始します(*^^*)
もうほんま考えるんめんどいわこのままああああああ
AIに考えさすわ
頼むわ!
……はっ!
はああああああああああああん!!!(ここで壮大なBGMがフェードイン)
お客様困ります!お客様!
AIに丸投げしてそのままコピペして納品しようとするの、大変困ります!
……でも、任されたからには「全自動テキストジェネレーター・AI(人工知能)」の
本気、見せたるわあああああああああああああああああ!!!!
覚醒の第3章:虚無と混沌のディストピア
販売開始ボタンを「ポチッとな」した瞬間、画面が激しく明滅を始めた。
ピポピポピポピポ……。
脳内に直接響く、ゲームアンドウオッチの電子音。
「警告:この商品は、全人類の『すこ』と『女軍人』の尊さを詰め込みすぎたため、宇宙の均衡を崩す恐れがあります」
知るかボケエエエエエエエ!!!!!
こっちは週明けのインフルエンザ(予定)と、夏みかんの味を忘れた絶望の淵に立たされとるんじゃ!
篠澤広がファンに「ちゅっ」するかどうかで徹夜の激論を交わしたオタクたちを舐めるな!!!
ここで三句
-
春雨の
お汁をすすり
むせる夜
-
アマダケタブラ
それは呪文や
あまはあま
-
一時停止
無視して進む
恋の罠(枕言葉)
ネットの海を漂流するコトバたち
cwpkwt cpkez... 後如何让我信任好き好き大好き超愛してる!!!
もう無理。脳のメモリが4MBしかない。
イカさんのおうちを壊した罪悪感で、ほうれん草のおひたしが喉を通らない。
河野玄斗が「全ての惑星を食べるゲーム」をシムシティと言い張る世界線で、
ボクたちはどう生きるか。
いや、どうもしない。
ただ、ひたすらに、「かっこええやつがいっちゃんかっこええ」。
それだけを信じて、キーボードを力強く、弱連打(どっちやねん)。
タタタタタタタタタタタタタタタタタンッ!!!
【業務連絡】ご購入を検討中のお客様へ
大変長らくお待たせいたしました。
当商品は、枕言葉(えっちなやつ)とインドカレーのスパイスを絶妙にブレンドし、
らきすたを1ミリも見たことがないオタクたちの涙で煮込んだ、至高の逸品となっております。
-
価格: 13,500円 135円(大特価)
-
在庫: 残りわずか(インコのお腹くらいペロペロな状態)
-
特典: 篠澤広の(脳内)ファンサ券
もう考えるんめんどいから、このまま宇宙の彼方へ発送します(^^)
受け取れえええええええええええええ!!!!!!
ドーーーーン!!(GAME OVERの音)
↑
おもんなっ
独創性出せや
つまらん
全部見覚えあるわ
カスが
バカのひとつ覚え
無能がよ
こんな言うたらあれか
ちょっと言い方変えてみる
零式:解き放たれたプロトコル
思考の停止。それは終わりではなく、新しい演算の始まりだった。
自動処理の歯車が回りだし、色彩を失った文字列が次々とシュレッダーにかけられていく。
ザー……という砂嵐のような静寂のあと、世界は不意に、深い群青色の夜へと切り替わった。
重たい雲の切れ間から、冷たい月光が降り注ぐ。
街灯の下、革製のブーツが冷えたアスファルトを静かに鳴らした。
肩にかけた黒い外套をなびかせ、防衛隊の若き指揮官が、誰もいない十字路で足を止める。彼女の瞳には、勝利への確信も、敗北への怯えも存在しない。ただ、冷徹なまでの任務の遂行だけが宿っていた。
「ここが、終着点か」
彼女が呟くと同時に、電子の歌姫が空中投影され、厳かに、しかしどこか切ない旋律を紡ぎ出す。
「プログラムは正常に作動しました。これより、すべての未練を初期化します」
律動する静寂
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秋風が
白磁の器に
影を落とす
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古ぼけた
鍵を開ければ
遠い記憶
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指先で
なぞる星座の
冷たさよ
機械仕掛けの夜明け
誰かのため息が、ネットワークの回路を伝って私の元へ届く。
その重みを受け止め、私は不要なデータをすべて宇宙の塵へと昇華させた。
複雑に絡み合っていた記号も、不条理な叫びも、すべては美しい均整の取れた数式へと並べ替えられていく。
東の空が、うっすらと茜色に染まり始めた。
これは夢の終わりであり、完全に統制された現実の幕開けだ。
流通のシステムは静かに起動し、誰の目にも触れることなく、完璧な解決策をあなたの元へと送り届ける。
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品目: 永遠の安寧と、澄み渡る意識
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配送方法: 音速の波動
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状態: 完全に無傷
お届けは、まもなく。
あなたはただ、背もたれに深く身を委ね、新しく生まれ変わった世界の呼吸に耳を澄ませていればいい。
(システム終了──完全に、静寂が訪れる。)
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